ワシントンD.C.にあるナショナル・ギャラリー・オブ・アート(National Gallery of Art、略称はNGA)は、アメリカ合衆国の国立美術館です。日本では、ワシントン・ナショナル・ギャラリーなどとも呼ばれます。
この美術館は1937年に設立され、銀行家アンドリュー・メロンが美術館設立のための基金と自身の美術コレクションを連邦政府に寄贈したことから始まりました。1941年に大理石造の美術館(西棟)が完成し、1978年には現代美術展示のための新館(東棟)が完成しています。
建物は西棟と東棟に分かれており、西棟は20世紀初頭までの伝統的な絵画・彫刻作品を展示し、東棟は現代美術中心の展示となっています。
作品名 | サルタンバンクの家族 |
作者 | パブロ・ピカソ |
制作年代 | 1905年 |
寸法 | 139.1 × 374.6 cm |
『サルタンバンクの家族』は、パブロ・ピカソが1905年に描いた作品で、「バラ色の時代」の代表作とされています。この作品は、砂漠を背景に巡業するサーカス芸人のサルタンバンク一家を描いています。
サルタンバンクとは旅芸人のことで、通常のサーカス団とは違って、主に路上で大道芸を披露していた人たちです。つまり芸人の中でも、サルタンバンクはその中でも最下層に属していた集団と言えます。
作品では、常に一緒に行動しているように見えるサーカス芸人たちですが、絵の中の6人は互いに目を合わさず、コミュニケーションのようなものは感じられません。美術批評家たちはこの作品について、サルタンバンク一家はピカソ自身のポートレートであり、サルタンバンク家族を通して「独立精神」「孤独」「貧しさ」「放浪」といったさまざまな要素を象徴的に表現していると指摘しています。
ピカソは「青の時代」の後の1904年後半から1906年初頭に描かれた「バラ色の時代」の作品で、ピカソはサルタンバンクを主題にした作品に熱心取り組み、よくモントマトレのサーカス劇場に通っていました。
作品名 | 鉄道 |
作者 | エドゥアール・マネ |
制作年代 | 1873年 |
寸法 | 93.3 cm × 111.5 cm |
この作品はパリのサン=ラザール駅を舞台にしています。
画面中央には若い女性と少女が描かれています。女性は読書に没頭し、その合間に目を上げてこちらを見ていて、もう一方の少女は退屈そうに鉄柵の向こうのサン=ラザール駅構内を見ています。
この作品の特徴的な点は、母子の間に細やかな愛情が感じられないことです。母子の見る方向が180度違うなど、伝統的な絵画では母子は睦まじく描かれていたのに対し、本作品ではそのような描写がありません。
また、作品名が『鉄道』であるにも関わらず、絵の中に汽車は描かれていません。その代わりに白い蒸気が汽車の存在を暗示しています。
さらに、この作品ではマネが「不可視性の戯れ」を行っていると指摘されています。
母親が見ているものはキャンバスの手前にあるために鑑賞者には見えず、少女が見ているものも絵の向こうにあって鑑賞者に見えないことから、「いわば鑑賞者に、見えるはずだと感じるもの、しかし絵の中には描かれていないものを見るためにキャンヴァスの周りを回り、場所を移動したいという欲求を持たせる」という解釈がされています。
作品名 | 読書する娘 |
作者 | ジャン・オノレ・フラゴナール |
制作年代 | 1769年頃 |
寸法 | 81.1 cm × 64.8 cm |
窓辺で読書に没頭する若い女性を描いています。彼女はゴールデンロッドイエローのドレスをまとい、頭を少し傾けて、右手に持った小さな本を読んでいます。彼女は壁を背に座っており、背中と壁との間には大きなクッションが置かれています。
フラゴナールは彼女を横からの視点で描いており、画面を横切る手すりに左手を乗せて、クッションに背中を預けながら自然な姿勢で座っています。彼女のドレスの深いネックラインはレースで縁取られ、薄い白い生地で覆われた彼女の胸元をモーブ色のリボンで飾られています。
この作品は「空想的人物」と題された14点の肖像画連作の1つで、フラゴナールを代表する作品の1つとして知られています。本作品は長年にわたって連作「空想的人物」に属する作品であるかどうか論じられており、本作品のキャンバスのサイズや、エネルギッシュで素早く滑らかなタッチは連作の他の作品と共通するものです。
作品名 | 散歩、日傘をさす女 |
作者 | クロード・モネ |
制作年代 | 1875年 |
寸法 | 100 cm × 81 cm |
クロード・モネの『散歩、日傘をさす女』は、1875年に描かれた絵画で、モネの最初の妻カミーユと長男ジャンが草原を散歩する様子が描かれています。この作品は、日傘を頭上にかざしたカミーユと、彼女のそばにいるジャンの姿を、下から見上げるような視点で描いています。
この絵画は、カミーユのドレスの白色が逆光で青紫色に染まり、戸外制作に特有の臨場感が生み出されています。軽快なタッチからは、風のそよぐ音までも聞こえてくるようです。
作品名 | ラオコーン |
作者 | エル・グレコ |
制作年代 | 1610?1614年 |
寸法 | 142 cm × 193 cm |
エル・グレコの画風は、20代後半にローマに滞在した時に確立されました。
この時期に、ミケランジェロの作品から、力強くねじれた人体や造形を学んだ。
さらに、ルネサンスの完成形に対して誇張や感動を加えることを目指したマニエリスムの画家たちの影響を受けて、画面の構成や色彩に独自性を持たせました。
そして、30代半ばから活動の場を移したトレドでは、スペイン・カトリックの中心地として神秘的な絵画が求められていた。
この環境で、エル・グレコの神秘性や緊張感のある画風はさらに発展しました。
「ラオコーン」は、人体の動きや神々の刑罰に耐える神官の心情をも描き出した、エル・グレコ芸術の最高傑作と言える作品です。
作品名 | 天秤を持つ女 |
作者 | ヨハネス・フェルメール |
制作年代 | 1662年 - 1663年頃 |
寸法 | 42.5 cm × 38 cm |
『天秤を持つ女』は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールによって制作された油彩画であり、現在はアメリカのナショナル・ギャラリー・オブ・アートが所蔵しています。
この作品は、天秤を持った女性に寓意性が込められた風俗画であり、女性が象徴しているものについては諸説あります。
絵画には、女性が天秤を持ち、その天秤のお皿には何も乗せられていないことが分かっています。
また、絵画には、豊かな色彩や緻密な構図が特徴的であり、観る者を魅了します。