メトロポリタン美術館で見ることができる名画を紹介

メトロポリタン美術館で見ることができる名画を紹介

 

 

メトロポリタン美術館(通称:The Met)は、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタンにある世界最大級の美術館です。この美術館は、5番街(ミュージアム・マイルの区間)に面するセントラル・パークの東端に位置しています。

 

メトロポリタン美術館の設立構想は、1864年、パリで7月4日のアメリカ独立記念日を祝うために集まったアメリカ人たちの会合の席で提案されました。その後、基金による購入や、様々なコレクターからの寄贈によって収蔵品数は激増し、現在では絵画・彫刻・写真・工芸品ほか家具・楽器・装飾品など300万点の美術品を所蔵しています。

 

また、メトロポリタン美術館はそのコレクションの幅が極めて広く、古今東西問わずあらゆる時代、地域、文明、技法による作品を収集していることが特徴です。全館を一日で巡るのは難しいほどの規模を誇っています。

 

ドガ 「ダンス教室』

作品名 ダンス教室
作者 エドガー・ドガ
制作年代 1874年
寸法 83.2×76.8cm

 

ドガが40歳ごろに描いた「踊り子」シリーズの中でも傑出した作品です。

 

ドガはバレエの舞台裏で練習する踊り子たちの姿に魅了され、生涯にわたって何百枚もの絵を描きました。

 

彼はアングルという新古典主義の巨匠を尊敬し、正確な形態や構図を重視しました。

 

しかし、印象派の画家たちとも交流し、都会の日常生活の一場面としてバレエを捉えることで、当時のパリの「近代性」を表現しようとしました。

 

モネ「サンタドレスのテラス」

作品名 サンタドレスのテラス
作者 クロード・モネ
制作年代 1867年
寸法 98.1×129.9cm

 

印象派の先駆者であるモネが、北フランスの海岸沿いにあるサンタドレスという町で描いたものです。

 

モネは画家になることに反対する家族から逃れるように、この町に住んでいた叔母ソフィーのもとに身を寄せました。

 

右手前に座っている男性は父親で、その隣に立っている女性は叔母といわれています。

 

彼らは海辺で過ごす人々や船や建物などを見渡していますが、その風景はモネ独特の筆触で色鮮やかに表現されています。

 

スーラ『サーカスの客寄せ (パレード)』

 

作品名 サーカスの客寄せ (パレード)
作者 ジョルジュ・スーラ
制作年代 1887~88年
寸法 99.7×149.9cm

 

パリで開催されていたサーカス団の宣伝活動を描いたものです。

 

スーラは点描法という技法を用いて、細かな点を並べることで色彩効果を生み出しました。

 

彼は自然科学や光学などに基づいて色彩理論を研究し、写実的な光や影を再現することに挑戦しました。

 

この絵では、中央にいるトロンボーン奏者や右端にいる楽器奏者などが照明によって浮き上がり、光と影を際立たせて幻想的な雰囲気を醸し出すことに成功しています。

 

アングル『ド・ブロイ公爵夫人の肖像』

 

作品名 ド・ブロイ公爵夫人の肖像
作者 ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル
制作年代 1851年?1853年
寸法 121.3 cm × 90.8 cm

 

この作品は、後にフランスの首相となる第4代ブロイ公爵ジャック=ヴィクトル=アルベールと結婚したポリーヌ・ド・ブロイを描いています。

 

ポリーヌは聡明で美しい女性でしたが、非常に内気な性格でした。彼女の夫、アルベールは彼女を非常に愛しており、彼の姉妹であるドーソンヴィル伯爵夫人を描いたアングルの作品に感銘を受け、妻の肖像画をアングルに依頼しました。

 

この肖像画では、アングルの特徴的な技法が見られます。彼は女性を美しく描くために、骨格を無視して描くという特徴があります。また、装飾品や衣服の精密な描写も見事です。

 

ポリーヌの顔は陶器のように滑らかで、その美しさはアングルの微妙な陰影のグラデーションによってさらに引き立てられています。彼女の髪はしっかりとまとめられ、ドレスと合わせた青いサテンのリボンで結ばれています。耳には小さな天然真珠のイヤリングを身につけています。

 

クリムト「メーダ・プリマヴェージの肖像」

 

作品名 メーダ・プリマヴェージの肖像
作者 グスタフ・クリムト
制作年代 1912年
寸法 149.9×110.5cm

 

モデルは、クリムトやウィーン幻想派の大型パトロンだったオーストリアの実業家で銀行家のオットー・プリマヴェージの9歳の娘、メーダ・プリマヴェージです。クリムトは本作を描く前に、彼女の異なるポーズや背景に関する膨大な数の予備スケッチを行っています。

 

この作品は、他の女性ポートレイトと比べて装飾模様が少なく、輪郭線を中心に質素に描かれているのが特徴です。これは、「黄金時代」が終了し、フォーヴィズムの影響が強い時期に移行したためです。

 

また、女性的なものに関する新しいクリムトの視点、すなわち女性と花の装飾を混ぜあわせて一体にした表現方法が現れています。モデルの肢体各部がそれ自身が装飾となり、装飾が各肢体なのである。

 

最終的に作品となったポーズは、少女がまっすぐに正面を見つめ、脚は厳かに開かれ、腕は挑戦的に背中に回す、というものです2。彼女はクリムトの他の作品に描かれた女性モデルと同じか、あるいはそれ以上に自信ありげに見えます。