ブレラ美術館で見ることができる名画を紹介

ブレラ美術館で見ることができる名画を紹介

 

 

ブレラ美術館の建物は、17世紀に建てられたイエズス会の施設でした。これを1772年、当時ロンバルディア王も兼ねていたマリア・テレジアが入手しました。

 

ここに1776年、美術アカデミーが設置され、絵画の収集が始まりました。その後、ナポレオンによって美術館として整備され、1809年、彼の誕生日を記念して開館、一般にも公開されるようになりました。

 

 

ジェンティーレ・ベッリーニとジョヴァンニ・ベッリーニ「アレクサンドリアでの聖マルコの説教」

 

作品名 アレクサンドリアでの聖マルコの説教
作者 ジェンティーレ・ベッリーニとジョヴァンニ・ベッリーニ
制作年代 1504-1507年
寸法 347 cm × 770 cm

 

文芸復興運動は14世紀からイタリアのフィレンツェを中心に始まりましたが、海洋国家ヴェネツィアは15世紀後半までその影響を受けませんでした。その時期になって、ベリーニ兄弟という画家たちがヴェネツィアの絵画に革新をもたらしました。

 

彼らはフランドルで発明された油彩技法を習得し、それを自分たちのオリジナルな表現に活かしました。ベリーニ兄弟が描いた「アレクサンドリアでの聖マルコの説教」は、ヴェネツィアのルネサンス絵画の傑作として知られています。

 

この絵は、聖マルコ同信会から依頼されたもので、兄のジェンティーレが構想と下絵を描きました。

 

しかし、完成間近になってジェンティーレが亡くなったため、弟のジョヴァンニが引き継いで仕上げました。

 

ジョヴァンニは油彩技法の特徴を生かして、質感や光の効果を鮮やかに表現しています。

 

この絵は、兄と弟の異なる才能が見事に調和した作品です。

 

 

マンテーニャ「死せるキリスト」

 

作品名 死せるキリスト
作者 アンドレア・マンテーニャ
制作年代 1480年頃
寸法 68 cm × 81 cm

 

非常に斬新な構図の作品です。その身体に刺さった釘の痕跡のリアルな描写に、観る者は思わず目を背けたくなるほどの苦しみを感じます。
顔だけを見せる老齢の聖母や隣にいる人物が、悲しみを表現し、イエスの死の哀しさを高めています。

 

立体的な人体の描き方と、遠近法を使った縮小法という構図に、古代美術への敬愛と長い間の研究の成果が見られます。

 

制作年は諸説ありますが、陰影を活用した細やかな描き方から、マンテーニャの晩年の作品であることが推測されます。

 

 

 

カラヴァッジオ「エマオの晩餐」

 

作品名 エマオの晩餐
作者 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
制作年代 1606年
寸法 141 cm × 175 cm

 

カラヴァッジオの晩年の作品である 「エマオの晩餐」は、彼が以前に描いた同じ主題の絵画とは異なる特徴を持っています。

 

ロンドン ナショナルギャラリーに収められている1590年代後半の作品よりも、この作品では光と影のコントラストが強調され、 復活したキリストを見抜いた弟子たちの驚愕が鮮やかな明暗法で巧みに描かれています。

 

このような光の効果を駆使したドラマチックな構図と細部まで忠実に再現した写実的表現は、 17世紀のヨーロッパ美術に革命を起こしました。