カポディモンテ美術館(Museo di Capodimonte)は、イタリアのナポリに位置する美術館です。この美術館は、かつてのファルネーゼ家のコレクションを中心に、イタリア・ルネサンスおよびバロック絵画の充実したコレクションを有しています。
この美術館は、ナポリ・ブルボン家のカルロ7世が、母エリザベッタ・ファルネーゼから受け継いだ美術品コレクションを展示するために建設した宮殿であり、その中には広く美しい庭園と植物園もあります。また、丘からはナポリの街の東側が一望できます。
美術館内には無数のファルネーゼ・コレクション絵画が年代順に並んでおり、時代の移り変わりと絵画技術の進歩と流行が見て取れます。
作品名 | キリストの磔刑 |
作者 | マザッチオ |
制作年代 | 1426年 |
寸法 | 83 cm × 300 cm |
ルネサンスの先駆者と呼ばれる画家マザッチオは、15世紀初めのフィレンツェで、建築家ブルネッレスキや彫刻家ドナテッロとともに活躍しました。彼が24歳のときに描いた「キリストの磔刑」は、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロ、ミラノジェロなど、ルネサンスを代表する巨匠たちに大きな影響を与えた作品です。
この絵画は、フィレンツェの西にある港町ビサのサンタマリア・デル・カルミネ教会の礼拝堂に飾られるために、多翼祭壇画の一部として制作されました。
画面に描かれたキリストは、苦しみに満ちた表情で、人間としてのキリストを表現しようとした画家の思いが伝わってきます。この作品はもともと祭壇の中央上部に位置していた。キリストの首が短く見えたり、胴体が沈み込んでいるように見えるのは、祭壇から見上げたときに自然に見えるように、画家が遠近法を駆使して描いたからです。
国際ゴシック様式の典型的な画風とは一線を画す、人間的で写実的な十字架上のキリストは、遠近法だけでなく、解剖学的な知識も取り入れた人体描写など、マザッチオが自然や人間を正確に再現する技術を開発し、応用した結果です。そして、このような人文主義的な美術の革新が、ルネサンスの始まりとなりました。
マザッチオは27歳という若さで亡くなりました。彼が最も多くの成果を残したのは、1425年から4年ほどの間です。この期間に、遠近法や光の表現など、多くの技法を飛躍的に発展させたマザッチオ。「キリストの磔刑」はその成熟期を象徴する作品として、ルネサンスの息吹を今日まで伝えてくれます。
作品名 | アンテア |
作者 | パラッツォ・デル・ジャルディーノ |
制作年代 | 1525年頃 |
寸法 | 136 cm × 86 cm |
サンヴィターレ城の壁画を完成させたパルミジャニーノは、ローマへ向かいました。そこで3年間滞在し、ラファエロやミケランジェロの作品に触れ、マニエリスム美術の先駆者であるロッソとも知り合いました。
この作品は、ローマで有名な高貴なアンテアの肖像です。
小さな頭と細長い身体、冷たい色調が、まるで大理石の彫刻のような印象を与えています。
作品名 | 盲人の寓話 |
作者 | ピーテル・ブリューゲル |
制作年代 | 1568年 |
寸法 | 86 cm × 154 cm |
ブリューゲルは、死の一年前にこの絵を描きました。『新約聖書』の「マタイによる福音書」にある「盲人が盲人を導けば、二人とも穴に落ちる」という言葉に基づいています。
絵の中では、先頭の盲人が穴に落ちて、後ろの盲人たちもつられてよろめいています。この光景は、少し滑稽に見えるかもしれません。
当時のフランドルでは、この主題は異端者や神以外のものに従う者たちの愚かさを示す寓意として、多くの銅版画で描かれていました。