ボルゲーゼ美術館は、イタリアの首都ローマにある美術館で、17世紀初頭に建てられた豪華な邸宅美術館です。この美術館は、緑豊かな巨大な公園、ヴィラボルゲーゼ内に位置しており、美しい庭園に囲まれています。
ボルゲーゼ美術館は、イタリア・ルネサンスおよびバロック美術を中心としたボルゲーゼ・コレクションを所蔵することで知られています。この美術館では、カラヴァッジョやベルニーニの最高傑作と出会えます。特にカラヴァッジョの作品は6作品と、世界一の所蔵数を誇ります。
それ以外にも、ラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」、ティツィアーノの「聖愛と俗愛」、ヴェロネーゼの「魚に説教する聖アントニオ」など、ただ巨匠の作品というだけでなく、強い印象を与える作品を多く展示しています。
作品名 | 一角獣を抱く貴婦人 |
作者 | ラファエロ・サンツィオ |
制作年代 | 1506年頃 |
寸法 | 67 cm × 56 cm |
伝説上の獣である一角獣を抱いた女性を描いており、レオナルド・ダ・ヴィンチの影響をうかがうことができます。
この絵画は、美しい金髪碧眼の女性が遠方に湖を望むロッジアに座っており、膝の上に小さな一角獣を抱きかえています。彼女は当時流行した衣服をまとい、方形にカットされたルビーとエメラルドおよび洋ナシの形をした大きな真珠のネックレスを首にかけています。また、彼女の長髪は太い三つ編みに編んでいます。
一角獣は純潔の象徴であり、処女だけが捕獲することができると言われています。また、女性が指輪をしていないことも注目すべき点であり、これは彼女が結婚前の女性であることを示していると考えられます。
この絵画は、ラファエロがフィレンツェに滞在していた時期に描かれたものであり、その構図は明らかにレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」に触発されています。しかし、描かれた女性像は「モナ・リザ」とは趣が異なっています。
作品名 | 聖アンナと聖母子 |
作者 | ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ |
制作年代 | 1605?1606年 |
寸法 | 292 cm × 211 cm |
この作品は、新約聖書に記されたエピソード、聖母マリアとその母である聖アンナ、そして幼子イエス・キリストを描いています。
この絵画は、聖母マリアが抱いている幼子イエス・キリストの助けを借りて、悪または原罪の象徴であるヘビを踏みつけている場面を描いています。一方、絵画が称賛しているはずの聖アンナは、出来事を目撃者である皺の寄った老婆として描かれています。
この作品はカラヴァッジョの最良の構図ではないものの、当時の聖母マリアの非典型的な表現であり、一部の同時代の鑑賞者に衝撃を与えたと言われています。
作品名 | 魚に説教する聖アントニオ |
作者 | パオロ・ヴェロネーゼ |
制作年代 | 1580年頃 |
寸法 | 112×157cm |
ヴェロネーゼの「魚に説教する聖アントニオ」は、16世紀のイタリア、ヴェネツィア派の巨匠パオロ・ヴェロネーゼが描いた作品です。この絵画は、聖アントニオが魚に説教を行う場面を描いています。
ヴェロネーゼは、その豊かな色彩感覚と劇的な構図で知られています。彼の作品はしばしば宗教的なテーマを扱い、人間の感情や経験を通じて神聖なメッセージを視覚化しています。
作品名 | キューピッドに目隠しをするヴィーナス |
作者 | ティツィアーノ・ヴェチェッリオ |
制作年代 | 1565年頃 |
寸法 | 116 cm × 184 cm |
この作品は、愛と美の女神ヴィーナスがキューピッドに目隠しをする場面を描いています。
この絵画では、ヴィーナスが2人のキューピッドの間に座り、一方のキューピッドの顔に愛の盲目さを象徴するリボンを巻きつけて、その両眼を覆い隠しています。もう一方のキューピッドはヴィーナスの肩に手を置いて、女神の背中に寄り掛かるようにして立ち、肩越しにその光景を眺めています。おそらくもう1人のキューピッドはヴィーナスに盲目的な愛が危険であることを助言しているが、ヴィーナスはどこか悪戯っぽい表情で彼の方を振り返っています。
目隠しをされるキューピッドは武器である弓矢を持っていないが、彼女たちに随行する2人の女性像がそれぞれ弓と矢筒を携えており、悪戯好きの幼児神に手渡すべくヴィーナスが目隠しを縛り終えるのを待ち構えています。
この作品はティツィアーノ晩年を代表する神話画ないし寓意画であり、保存状態は極めて良好です。また、ティツィアーノの芸術が成熟した後の作品であることは暖かく豊潤な色彩が物語っています。