メディチ家の歴史的な美術コレクションが1833年から一般公開されています。
絵画作品が中心で、1000点以上の貴重な作品が展示されている。
このコレクションは「パラティーナ美術館」とも呼ばれる。
コジモ2世が1620年頃から集め始めたもので、ピエトロ・ダ・コルトーナが内装を担当しました。
彼の壁画は「ヴィーナスの間」「アポロの間」「ユピテルの間」「マルスの間」などに見ることができます。
作品名 | 聖母子と聖アンナの生涯 |
作者 | フィリッポ・リッピ |
制作年代 | 1452年頃 |
寸法 | 135 cm × 135 cm |
キリスト教の伝統的な聖母子像をテーマにしつつ、『聖母子と聖アンナの生涯』は人間の生き生きとした感じが溢れている。
この絵が、15世紀以降に多く描かれてきたそれまでの聖母子像と違うのは、まさにその親しみやすさにある。
従来の宗教画は、たとえ人物を描くためにモデルを使っても、そのリアリティや個性は、むしろ無視された。
しかし、リッピは恋人ルクレツィアをモデルにし、その個性的な顔や姿を非常に写実的に表現することで、板絵の中の聖母に、命の息吹を与えています。
そこには、人間賛歌を唱えたルネサンス絵画の精神が、はっきりと見える。
円形画として描かれた聖母子などは、特に15世紀、フィレンツェの貴族や裕福な商人たちから誕生祝板として注文されて人気があった。
リッピの代表作の一つである「聖母子と聖アンナの生涯」は、現存する円形画の最も古いものである。
リッピは、「円の中に絵を描く」という“実験”に挑んだ先駆的な画家の一人だった。この「円形」は、ルネサンスの美の規範である調和を象徴し、当時の建築家たちも円形を設計の基本の一つとしていた。
壁に掛ける絵画でも半円アーチの窓と並べて飾ると円形の画面がバランスが良い。
それを早くから気づいたのは、どんな規制にも縛られない天才画家リッピだけの感性と言える。
「聖母子と聖アンナの生涯」は、画面の形態という観点でもルネサンスを牽引する革新的な一枚なのである。
作品名 | 小椅子の聖母 |
作者 | ラファエロ・サンティ |
制作年代 | 1514年頃 |
寸法 | 71cm x 71cm |
鑑賞者と目が合う聖母は、親しみやすく感じられる。
この作品には、こんな伝説がある。危機に陥った修道士を救った母子に、修道士は「あなたがた母子の姿は永遠に残るだろう」と言って去っていった。
その後、ラファエロが母子に出会い、その美しさに感動してこの作品を描いたといわれています。
円形の画面に沿って、聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネが見事に配置されている。