ギュスターヴ・モロー美術館は、フランスのパリにある美術館で、画家ギュスターヴ・モローが1852年から暮らした邸宅が美術館として公開されています。初代館長はモローの教え子だったジョルジュ・ルオーでした。
美術館の建物は、1852年から実際にモローが自宅兼アトリエとして家族とともに暮らした邸宅です。モローは亡くなる前からこの邸宅を美術館とすることを決めており、邸宅内の作品や調度品の配置はそのままの位置で留めるようにと遺言に残したそうです。
この美術館では、モローの油彩画・水彩画だけでなくデッサンも閲覧出来るようになっており、その作品数は14000点以上とも言われています。
作品名 | ユピテルとセメレ |
作者 | ギュスターヴ・モロー |
制作年代 | 1895年 |
寸法 | 212 cm × 118 cm |
ギュスターヴ・モローの『ユピテルとセメレ』は、1895年に完成した彼の晩年の大作で、最後まで仕上げられた唯一の作品です。この絵画は、仄暗い画面の中で、闇の中でうごめき出し開花するかのような、異様なまでに過剰な細部の集積が特徴的です。
この作品は、神話を主題に描かれています2。人間の女性セメレは、最高神ユピテルの愛を受けます。しかし、最高神の妻ユノ女神は、セメレの乳母に身を変えセメレをそそのかします。セメレは、愛の証に、ユピテルに「ユノー様にお示しになるのと同じ姿を私にもお示しください」と願います。
モロー自身がこの作品について述べた言葉は、「神の召喚と聖なる清めのもと、全てが変容し浄化され理想のものとなる。不死が始まり、聖なるものが全てに広がり、まだ形をなさぬ全てのものが真実の光を崇拝する。」というものです。これらの言葉から、この作品が持つ深遠な意味や象徴性を感じ取ることができます。
作品名 | 出現 |
作者 | ギュスターヴ・モロー |
制作年代 | 1876年 |
寸法 | 142×103cm |
50歳になったモローは1876年のサロン (官展) で、油彩の「ヘロデ王の前で踊るサロメ」 (ロサンゼルス・カウン ティー美術館蔵) や、 水彩の「出現」 (ルーヴル美術館蔵) という生涯の傑作を展示しました。
油彩のこの作品は、「ヘロデ王の前で踊るサロメ」とほぼ同じ寸法で、モローは両方を対になる作品として考えたが、この作品は完成せずにアトリエに置かれたままでした。
「出現」では油彩も水彩も、聖書に出てくるヘロデ王が義理の娘サロメとの約束により、洗礼者ヨハネを処刑するという場面が描かれています。
サロメは世紀末までに流行する、男性を滅ぼす「運命の女」の先駆けとなりました。
作品名 | 求婚者たち |
作者 | ギュスターヴ・モロー |
制作年代 | 1852-1853年 |
寸法 | 385×343cm |
ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」を題材にした作品で、トロイア戦争から帰還した英雄オデュッセウスが、自分の妻ペネロペに迫る王子や貴族たちを一掃する様子を描いています。
オデュッセウスは右奥の扉の近くに小さく表現され、女神アテナが彼を導くために空中に現れています。
モローの作品の中では最も大きなもので、作者が生きている間に何度も修正された作品です。