アムステルダム国立美術館で見ることができる名画を紹介

アムステルダム国立美術館で見ることができる名画を紹介

 

 

アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)は、オランダの首都アムステルダムにある美術館で、17世紀オランダ絵画が充実しています。

 

この美術館は200年の歴史を誇り、レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』など、17世紀オランダ黄金時代の傑作絵画をはじめ、オランダが世界に誇る至宝の数々を所蔵しています。

 

また、「名誉の間」や美しすぎる図書館「カイパース図書館」といった内装も楽しむことができます。

 

レンブラント『夜警』

 

作品名 夜警
作者 レンブラント・ファン・レイン
制作年代 1642年
寸法 363 cm × 437 cm

 

レンブラントの『夜警』は、17世紀オランダの巨匠レンブラント・ファン・レインの代表作で、その巨大さ(縦3メートル63センチ、横4メートル37センチ)、光と影の効果的な使用、そして当時は不動の姿勢で描かれた軍隊や自警団の集団肖像画に動きの要素を取り入れたことで有名です。

 

この絵画は次の三つの要素で有名です。

 

  • その巨大さ(縦3メートル63センチ、横4メートル37センチ)
  • 光と影の効果的な使用
  • 当時は不動の姿勢で描かれた軍隊や自警団の集団肖像画に動きの要素を取り入れたこと

 

『夜警』はオランダ黄金時代の絶頂期であった1642年に完成しました。

 

この絵は題名となった市民隊(火縄銃手組合による市民自警団)が出動する瞬間を描いています。

 

黒い服に隊長の印である赤い飾り帯を斜めにかけたフランス・バニング・コック隊長と、その右横の黄色の服を着たウィレム・ファン・ラウテンブルフ副隊長は隊を率いて動き出そうとし、その周辺では銃に火薬を詰める隊員や銃を構える隊員が銃の技量を示し、鼓手がドラムを構え、後ろでは旗手が隊旗を掲げています。

 

また、この絵画は「夜警」という通称で呼ばれていますが、実はこの絵画は昼の情景を描いています。表面のニスが変色し黒ずんでいたため、長い間、夜だと思われていましたが、20世紀に入り、二度の洗浄作業でニスが取り除かれた際、絵は明るみを取り戻し昼を描いた絵であることが明らかになりました。

 

フェルメール『牛乳を注ぐ女』

 

作品名 牛乳を注ぐ女
作者 ヨハネス・フェルメール
制作年代 1657年 - 1658年頃
寸法 45.5 cm × 41 cm

 

フェルメールの『牛乳を注ぐ女』は、17世紀オランダの巨匠ヨハネス・フェルメールが1657年から1658年頃に描いた絵画です。

 

この作品は、簡素な部屋の中でメイドが、牛乳をテーブル上のずんぐりとした陶製の容器に丁寧に注ぎ入れている情景が描かれています。テーブルの上にはさまざまなパンが描かれており、彼女はブレッドプディングを作っていると考えられています。

 

背景の壁の床との接地面にはデルフト陶器のタイルが嵌めこまれています。左のタイルにはキューピッドの、右のタイルには長い棒を持つ人物の装飾画があり、さらにタイルの前面の床には四角い足温器が置かれています。

 

この作品では太陽の光を反射した白い壁が明暗豊かに描写され、漆喰で塗られた壁の凹凸をも表現しています。また、女性の顔半分には陰が落ちており、「下向きの視線とすぼめた唇が、悲哀を意味しているのか、集中を意味しているのかは、誰にも判断できない」と美術評論家カレン・ローゼンバーグは述べています。

 

フェルメール「手紙を読む青衣の女」

 

作品名 手紙を読む青衣の女
作者 ヨハネス・フェルメール
制作年代 1663年 - 1664年
寸法 46.6 cm × 39.1 cm

 

窓辺の光の中で手紙を読む女性が描かれています。女性の後ろにかかる世界地図は『士官と笑う娘』と同じもので、椅子が2脚描かれていることから、作品のモデルである青衣の女の夫は航海に出て家を空けており、青衣の女は夫の身を案じながら手紙を読んでいると考えられます。

 

手紙はフェルメールの6作品に登場するモティーフで、手紙を読む女性をモデルにした作品としては、他に『窓辺で手紙を読む女』があります。

 

届いた手紙に視線を落とす青衣の女。手紙を持つ両手や少し開いた口元からは、集中して手紙を読む女性の緊張感が伝わってくるようです。

 

青衣の女の後ろの壁には世界地図が掛けられています。オランダ黄金時代と呼ばれ貿易大国であった17世紀オランダでは、仕事で海を渡り国外へと出て行く男性が多く、女性の夫も海を渡った遠くの地にいるのだろうと想像できます。青衣の女が読んでいる手紙は夫から届いたものなのでしょう。

 

レンブラント「エルサレムの滅亡を嘆くエレミヤ」

 

作品名 エルサレムの滅亡を嘆くエレミヤ
作者 レンブラント・ファン・レイン
制作年代 1630年
寸法 58 cm × 46 cm

 

レンブラントの『エルサレムの滅亡を嘆くエレミヤ』は、17世紀オランダ黄金時代の画家レンブラント・ファン・レインが1630年に制作した絵画で、彼のレイデン時代の最も名高い作品の一つです。

 

この作品は、旧約聖書の預言者エレミヤがエルサレムの滅亡を嘆く情景を描いています。エレミヤは獄中でエルサレムの都の崩壊を予言したが、町はそれに備えることができず、エレミヤは獄中でその崩壊を迎えたと伝えられています。

 

画面を斜めに横切る老人の姿とその周囲の劇的な明暗の対比は、老人の沈鬱な表情とともに全体に悲劇的な雰囲気を漂わせています。老人の皺を刻んだ顔、ふわふわとした白い髯、毛皮の縁取りをした外衣や深紅の輝きを見せる織物の金糸の装飾、傍らに置かれた大きな鉢や什器の硬い金属の質感表現など、対象を的確に捉えるレンブラントの優れた腕前をよく示しています。

 

また、強烈な色彩の効果も、劇的な印象を強めるのに役立っています。若いレンブラントの持つバロック的特質が画面いっぱいに繰り広げられているといえます。