ティッセン=ボルネミッサ美術館は、スペインのマドリードにある美術館です。
1992年に開館され、プラド美術館の近くに位置しています。この美術館は、ドイツの鉄鋼財閥であるティッセン家とハンガリー貴族のボルネミッサ男爵家が収集したコレクションを展示しています。
コレクションには、古典絵画から20世紀の作品まで幅広い時代の作品が含まれており、世界的に有名な美術館の一つです。
作品名 | 受胎告知 |
作者 | エル・グレコ |
制作年代 | 1575?1576年 |
寸法 | 117 cm × 98 cm |
この作品のテーマは「受胎告知」で、『新約聖書』の「ルカの福音書」(1章34-35)に基づいています。画面の左には、聖母マリアが書見台の前でひざまずき、右には大天使ガブリエルが雲の上から神の子イエス・キリストを宿したことを告げに来ています。マリアは驚きと謙遜の表情で、左手で本を押さえ、右手で胸元をさすっています。画面の右には、マリアよりも少し高い位置にピンク色のローブをまとった大天使ガブリエルが前かがみになっています。
色鮮やかで温かい色調、光の効果、劇的な舞台づくりは、16世紀ヴェネツィア派の特徴をよく表しています。色彩と光の効果はティツィアーノの影響を、構図はティントレットの影響を受けています。一方、大天使ガブリエルのポーズはヴェロネーゼを連想させ、建築的な要素もヴェロネーゼの『受胎告知』シリーズと似ています。しかし、エル・グレコがイタリア時代に『受胎告知』を描く際に参考にした作品は特定されていません。それは、ヴェネツィア派の画家たちが描いた『受胎告知』では、大天使ガブリエルが右から現れる例はほとんどないからです。
この作品は、構図や人物の身体表現において、エル・グレコの作品としては珍しく古典的な調和を見せています。
作品名 | アレクサンドリアの聖カタリナ |
作者 | ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ |
制作年代 | 1598年頃 |
寸法 | 173 cm × 133 cm |
デル・モンテ枢機卿は、カラヴァッジオの初期のパトロンであり、彼にこの作品を依頼しました。
カタリナは、4世紀にローマで殉教したと言われる伝説上の聖女です。 彼女は、多くの学者や皇妃をキリスト教に改宗させたが、そのために釘のついた車輪で拷問され、最後は斬首されたといわれています。
カラヴァッジオは、写実的な表現を得意としており、この作品では、当時の町娘の服装で聖女を描いています。 これは、カラヴァッジオの独自の画風を示すものです。
作品名 | 朝の身づくろい |
作者 | フランソワ・ブーシェ |
制作年代 | 1742年 |
寸法 | 52 × 66.5 cm |
ルイ15世の時代にロココ美術の代表する画家のブーシェは、この絵で女性が女中の助けを受けながら朝の支度をする様子を描いています。
画面には、東洋から輸入された屏風や暖炉の前に置かれた火除けなど、東インド会社から仕入れた調度品が見えます。
これらは当時の富裕層の間で流行していました。
この絵のモデルは、画家の妻であり、美しさで知られていました。