ベルギー王立美術館は、ベルギーの首都ブリュッセルにある美術館で、1801年に基礎が設立され、1803年に正式にオープンして以来、200年以上の歴史を誇っています。
この美術館は4つの部分から成り立っています。
古典美術館 (Musee d’Art ancien / Museum voor Oude Kunst): 15世紀から18世紀までの作品を収めており、特にフランドルの画家たちの作品が充実しています。ピーテル・ブリューゲル、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン、ロベルト・カンピン、ピーテル・パウル・ルーベンスなどの作品を所蔵しています。
近代美術館 (Musee d’Art Moderne / Museum voor Moderne Kunst): 19世紀と20世紀の作品を収めています。
Museum Constantin Meunier: ベルギーの芸術家に焦点を当てた美術館です。
Antoine Wiertz Museum: ベルギーの芸術家に焦点を当てた美術館です。
作品名 | エレーヌ・フールマンの肖像 |
作者 | ピーテル・パウル・ルーベンス |
制作年代 | 1630年 |
寸法 | 65 × 50 cm |
ピーテル・パウル・ルーベンスの「エレーヌ・フールマンの肖像」は、彼の2度目の妻であるエレーヌ・フールマンを描いた作品です。
生き生きとしたエネルギーに満ちたルーベンスの筆は、若さの輝きを放つ女性の魅力を伝えています。
アントワープの絹商人ダニエル・フールマンの娘エレーヌは、1630年、16歳の時に、亡き妻の後を継いで53歳のルーベンスと婚姻しました。
ルーベンスはこの富豪とは古くからの友人で、エレーヌの姉シュザンヌの肖像も手がけている。
黒い絹のドレスと帽子、そして白い真珠と肩掛けが、若々しい肌の輝きを際立たせ、新しい花嫁を得た画家の幸せが画面から溢れ出している。
作品名 | 反逆天使の転落 |
作者 | ピーテル・ブリューゲル |
制作年代 | 1562年 |
寸法 | 117 cm × 162 cm |
この絵画はキリスト教の世界観に基づいており、高慢や嫉妬のために神に逆らい、天界を追放された反逆天使(堕天使)たちと、それを追い払う大天使ミカエルに率いられた天使の軍勢との戦いを描いています。
この主題自体は伝統的な画題であり、従来は天使を強調して善の圧倒的勝利を描くものでしたが、ブリューゲルの本作は混沌とした画面構成で乱戦の様相を呈し、善と悪、美徳と悪徳のせめぎ合いを描いています。
画面上部中央に円形の至高天が描かれ、そこからもつれ合い墜落するにつれて悪魔と化していく堕天使たちは、人間・獣・爬虫類・魚・貝・昆虫・植物・楽器など無数の生物・無生物を合成した怪物として描かれています。その意匠の中には、制作当時新大陸から紹介されたばかりのアルマジロの姿が取り込まれているなど、ブリューゲルの博物学的関心が活かされています。
これに対するミカエル達天使は長剣を振るって戦っており、剣の精緻な描写から、絵の注文主は刀剣ギルドではないかとする説もあります。
作品名 | 受胎告知 |
作者 | ロベルト・カンピン |
制作年代 | 製作年不詳 |
寸法 | 58 × 64cm |
北方ルネサンスの画家たちは、キリスト教の物語を現実的な風景に描き込み、 イタリアの理想主義とは一線を画した作品を生み出しました。
この絵画でも、神の子を身ごもることを大天使ガブリエルから告げられる聖母マリアの姿が、 フランドル地方の市民の家庭に置かれています。
これは、当時の北方の人々の日常生活を反映したものです。
作品名 | スフィンクスの愛撫 |
作者 | フェルナン・クノップフ |
制作年代 | 1894年 |
寸法 | 214 cm × 98 cm |
フェルナン・クノップフの「スフィンクスの愛撫」は、19世紀のベルギー象徴派の代表的な作品で、神秘的で幻想的な世界を描いています。
この絵画には、体は獅子で頭部は女性のスフィンクスと、その頬を寄せる男性が描かれています。スフィンクスが男性に頬を寄せ、恍惚の表情を見せています3。この男性は両性具有らしき人物とも解釈されています。
クノップフの作品は、現実離れしたオカルト的なモチーフを多く描いており、彼自身が持っていた神秘主義や秘教への傾倒が強く反映されています。そのため、「スフィンクスの愛撫」を鑑賞する際には、彼の象徴主義や神秘主義への傾倒を理解することが重要です。
また、クノップフの作品は緻密な描写と独特の色使いが特徴的であり、「スフィンクスの愛撫」でもその特徴が見られます。